九大精神科での指導方針について
ホームページを見てくださっている皆さん、こんにちは。令和
2年
4月
1日付で九州大学精神科(九大精神科)
8代目教授を拝命した中尾智博と申します。九大精神科では皆さんが充実した精神科研修を行えるよう、さまざまな取り組みを行っていますので、ここにご紹介します。
先に私の経験をお話ししますと、私自身この教室の出身で、約 25年の精神科医としてのキャリアのほとんどを九大精神科で過ごし、 6代目田代信維教授、 7代目神庭重信教授の指導を受けて育ちました。一貫して感じるのはこの教室が持つ自由な雰囲気であり、その中でひとりひとりの教室員が臨床、研究にのびのびと取り組み、それが教室全体の魅力となっているということです。私は人のこころを扱う精神科の仕事に興味を持って入局し、研修を続けるなかで認知行動療法の習得を志すようになりました。さらに、その対象疾患としての強迫性障害の治療に取り組む中でいったいこの病気はどういうメカニズムで発症し維持されているのかその興味が強まり、当時指導頂いていた中川彰子先生のもとで機能的脳画像研究を行うことになり臨床大学院に進学しました。学位取得後にはより専門的な研究を学ぶためロンドン大学の精神医学研究所( IOP)にも留学させて頂きました。このように、臨床の中で感じた疑問を解決するために新たな取り組みを行おうと考えたとき、それを受け入れ、しっかりと支えてくれる大きな器としての教室の存在を常に感じることができました。これは私だけではなく多くの教室員に共通する感覚ではないかと思います。
皆さんに提供する後期研修では、まず精神科臨床をじっくりと掘り下げながら実践的に経験し、知識を深め、技術を高めていきます。教室ではさまざまな分野の専門家が臨床の指導にあたっており、精神疾患の診断と治療を広く深く学べるよう配慮しています。外来、デイケア、そして運動場や広いテラスを備えた 65床(閉鎖 34床、保護室 13床、身体疾患治療病床5床を含む)の病棟施設を保有しています。研修では病棟診療が中心になります。3名の指導医がマンツーマンの指導を行いますので、日々相談しながら実践的に学んでください。病棟では、統合失調症、気分障害、不安障害、発達障害、認知症といった代表的な疾患の診療を幅広く経験できます。さらにリエゾン精神医学を専門とする教員について各科に出向き、身体疾患に併発する精神疾患の治療についても多くの経験を積むことができます。そして精緻な薬物治療戦略、クロザピンや修正型電気治療を用いた難治症例の治療、認知行動療法をはじめとする系統的精神療法による介入など、精神科医に必要な治療技術を十分に身につけていくことができるでしょう。さらに症例検討会や研究会、外部講師による講演会も頻回に開催され、知識と経験を高いレベルで統合していくことが可能になっています。
九大精神科のもう一つの特徴は北部九州一円をカバーする多くの連携医療機関を有していることです。九州医療センターや小倉医療センター、あるいは肥前精神医療センターや太宰府病院、私立の単科精神科病院、公的な行政機関をローテートすることにより、精神科救急、総合病院精神科医療、社会復帰リハビリテーション、精神保健福祉行政などについて研鑽を積むことができます。
研究に関して、九大精神科には実に多くの研究グループ、臨床グループが存在し日々精力的な活動を行っています。私たちは希望する先生の大学院進学を積極的に支援します。小児精神医学、老年精神医学(久山町研究)、認知行動療法、精神病理学、神経生理学、神経化学、精神薬理学、分子精神医学、リエゾン精神医学といったさまざまな研究室がありますので、ぜひホームページ内の紹介文を詳しくご覧になってください。臨床大学院では専門外来での診療に従事しながら、臨床研究を論文にまとめあげることができますし、精神疾患の病態基盤を調べる基礎大学院への進学も歓迎します。さらに研究を追求したい場合には、国内外の専門機関に留学することも推奨しており、紹介することが可能です。
九大精神科は 1906年の開講から今日までの 110年を超える歴史の中で、精神療法、社会精神医学、生物学的精神医学といった多岐にわたる領域において精神医学の発展に大きな貢献を果たしてきました。先達によって築かれたこの教室の歴史と伝統を財産として受け継ぎながら、これからの精神医学の発展に向けて皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
中尾智博
先に私の経験をお話ししますと、私自身この教室の出身で、約 25年の精神科医としてのキャリアのほとんどを九大精神科で過ごし、 6代目田代信維教授、 7代目神庭重信教授の指導を受けて育ちました。一貫して感じるのはこの教室が持つ自由な雰囲気であり、その中でひとりひとりの教室員が臨床、研究にのびのびと取り組み、それが教室全体の魅力となっているということです。私は人のこころを扱う精神科の仕事に興味を持って入局し、研修を続けるなかで認知行動療法の習得を志すようになりました。さらに、その対象疾患としての強迫性障害の治療に取り組む中でいったいこの病気はどういうメカニズムで発症し維持されているのかその興味が強まり、当時指導頂いていた中川彰子先生のもとで機能的脳画像研究を行うことになり臨床大学院に進学しました。学位取得後にはより専門的な研究を学ぶためロンドン大学の精神医学研究所( IOP)にも留学させて頂きました。このように、臨床の中で感じた疑問を解決するために新たな取り組みを行おうと考えたとき、それを受け入れ、しっかりと支えてくれる大きな器としての教室の存在を常に感じることができました。これは私だけではなく多くの教室員に共通する感覚ではないかと思います。
皆さんに提供する後期研修では、まず精神科臨床をじっくりと掘り下げながら実践的に経験し、知識を深め、技術を高めていきます。教室ではさまざまな分野の専門家が臨床の指導にあたっており、精神疾患の診断と治療を広く深く学べるよう配慮しています。外来、デイケア、そして運動場や広いテラスを備えた 65床(閉鎖 34床、保護室 13床、身体疾患治療病床5床を含む)の病棟施設を保有しています。研修では病棟診療が中心になります。3名の指導医がマンツーマンの指導を行いますので、日々相談しながら実践的に学んでください。病棟では、統合失調症、気分障害、不安障害、発達障害、認知症といった代表的な疾患の診療を幅広く経験できます。さらにリエゾン精神医学を専門とする教員について各科に出向き、身体疾患に併発する精神疾患の治療についても多くの経験を積むことができます。そして精緻な薬物治療戦略、クロザピンや修正型電気治療を用いた難治症例の治療、認知行動療法をはじめとする系統的精神療法による介入など、精神科医に必要な治療技術を十分に身につけていくことができるでしょう。さらに症例検討会や研究会、外部講師による講演会も頻回に開催され、知識と経験を高いレベルで統合していくことが可能になっています。
九大精神科のもう一つの特徴は北部九州一円をカバーする多くの連携医療機関を有していることです。九州医療センターや小倉医療センター、あるいは肥前精神医療センターや太宰府病院、私立の単科精神科病院、公的な行政機関をローテートすることにより、精神科救急、総合病院精神科医療、社会復帰リハビリテーション、精神保健福祉行政などについて研鑽を積むことができます。
研究に関して、九大精神科には実に多くの研究グループ、臨床グループが存在し日々精力的な活動を行っています。私たちは希望する先生の大学院進学を積極的に支援します。小児精神医学、老年精神医学(久山町研究)、認知行動療法、精神病理学、神経生理学、神経化学、精神薬理学、分子精神医学、リエゾン精神医学といったさまざまな研究室がありますので、ぜひホームページ内の紹介文を詳しくご覧になってください。臨床大学院では専門外来での診療に従事しながら、臨床研究を論文にまとめあげることができますし、精神疾患の病態基盤を調べる基礎大学院への進学も歓迎します。さらに研究を追求したい場合には、国内外の専門機関に留学することも推奨しており、紹介することが可能です。
九大精神科は 1906年の開講から今日までの 110年を超える歴史の中で、精神療法、社会精神医学、生物学的精神医学といった多岐にわたる領域において精神医学の発展に大きな貢献を果たしてきました。先達によって築かれたこの教室の歴史と伝統を財産として受け継ぎながら、これからの精神医学の発展に向けて皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
中尾智博
九大精神科での指導方針について
ホームページを見てくださっている皆さん、こんにちは。令和2年4月1日付で九州大学精神科(九大精神科)8代目教授を拝命した中尾智博と申します。九大精神科では皆さんが充実した精神科研修を行えるよう、さまざまな取り組みを行っていますので、ここにご紹介します。
先に私の経験をお話ししますと、私自身この教室の出身で、約25年の精神科医としてのキャリアのほとんどを九大精神科で過ごし、6代目田代信維教授、7代目神庭重信教授の指導を受けて育ちました。一貫して感じるのはこの教室が持つ自由な雰囲気であり、その中でひとりひとりの教室員が臨床、研究にのびのびと取り組み、それが教室全体の魅力となっているということです。私は人のこころを扱う精神科の仕事に興味を持って入局し、研修を続けるなかで認知行動療法の習得を志すようになりました。さらに、その対象疾患としての強迫性障害の治療に取り組む中でいったいこの病気はどういうメカニズムで発症し維持されているのかその興味が強まり、当時指導頂いていた中川彰子先生のもとで機能的脳画像研究を行うことになり臨床大学院に進学しました。学位取得後にはより専門的な研究を学ぶためロンドン大学の精神医学研究所(IOP)にも留学させて頂きました。このように、臨床の中で感じた疑問を解決するために新たな取り組みを行おうと考えたとき、それを受け入れ、しっかりと支えてくれる大きな器としての教室の存在を常に感じることができました。これは私だけではなく多くの教室員に共通する感覚ではないかと思います。
皆さんに提供する後期研修では、まず精神科臨床をじっくりと掘り下げながら実践的に経験し、知識を深め、技術を高めていきます。教室ではさまざまな分野の専門家が臨床の指導にあたっており、精神疾患の診断と治療を広く深く学べるよう配慮しています。外来、デイケア、そして運動場や広いテラスを備えた65床(閉鎖34床、保護室13床、身体疾患治療病床5床を含む)の病棟施設を保有しています。研修では病棟診療が中心になります。3名の指導医がマンツーマンの指導を行いますので、日々相談しながら実践的に学んでください。病棟では、統合失調症、気分障害、不安障害、発達障害、認知症といった代表的な疾患の診療を幅広く経験できます。さらにリエゾン精神医学を専門とする教員について各科に出向き、身体疾患に併発する精神疾患の治療についても多くの経験を積むことができます。そして精緻な薬物治療戦略、クロザピンや修正型電気治療を用いた難治症例の治療、認知行動療法をはじめとする系統的精神療法による介入など、精神科医に必要な治療技術を十分に身につけていくことができるでしょう。さらに症例検討会や研究会、外部講師による講演会も頻回に開催され、知識と経験を高いレベルで統合していくことが可能になっています。
九大精神科のもう一つの特徴は北部九州一円をカバーする多くの連携医療機関を有していることです。九州医療センターや小倉医療センター、あるいは肥前精神医療センターや太宰府病院、私立の単科精神科病院、公的な行政機関をローテートすることにより、精神科救急、総合病院精神科医療、社会復帰リハビリテーション、精神保健福祉行政などについて研鑽を積むことができます。
研究に関して、九大精神科には実に多くの研究グループ、臨床グループが存在し日々精力的な活動を行っています。私たちは希望する先生の大学院進学を積極的に支援します。小児精神医学、老年精神医学(久山町研究)、認知行動療法、精神病理学、神経生理学、神経化学、精神薬理学、分子精神医学、リエゾン精神医学といったさまざまな研究室がありますので、ぜひホームページ内の紹介文を詳しくご覧になってください。臨床大学院では専門外来での診療に従事しながら、臨床研究を論文にまとめあげることができますし、精神疾患の病態基盤を調べる基礎大学院への進学も歓迎します。さらに研究を追求したい場合には、国内外の専門機関に留学することも推奨しており、紹介することが可能です。
九大精神科は1906年の開講から今日までの110年を超える歴史の中で、精神療法、社会精神医学、生物学的精神医学といった多岐にわたる領域において精神医学の発展に大きな貢献を果たしてきました。先達によって築かれたこの教室の歴史と伝統を財産として受け継ぎながら、これからの精神医学の発展に向けて皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
中尾智博
先に私の経験をお話ししますと、私自身この教室の出身で、約25年の精神科医としてのキャリアのほとんどを九大精神科で過ごし、6代目田代信維教授、7代目神庭重信教授の指導を受けて育ちました。一貫して感じるのはこの教室が持つ自由な雰囲気であり、その中でひとりひとりの教室員が臨床、研究にのびのびと取り組み、それが教室全体の魅力となっているということです。私は人のこころを扱う精神科の仕事に興味を持って入局し、研修を続けるなかで認知行動療法の習得を志すようになりました。さらに、その対象疾患としての強迫性障害の治療に取り組む中でいったいこの病気はどういうメカニズムで発症し維持されているのかその興味が強まり、当時指導頂いていた中川彰子先生のもとで機能的脳画像研究を行うことになり臨床大学院に進学しました。学位取得後にはより専門的な研究を学ぶためロンドン大学の精神医学研究所(IOP)にも留学させて頂きました。このように、臨床の中で感じた疑問を解決するために新たな取り組みを行おうと考えたとき、それを受け入れ、しっかりと支えてくれる大きな器としての教室の存在を常に感じることができました。これは私だけではなく多くの教室員に共通する感覚ではないかと思います。
皆さんに提供する後期研修では、まず精神科臨床をじっくりと掘り下げながら実践的に経験し、知識を深め、技術を高めていきます。教室ではさまざまな分野の専門家が臨床の指導にあたっており、精神疾患の診断と治療を広く深く学べるよう配慮しています。外来、デイケア、そして運動場や広いテラスを備えた65床(閉鎖34床、保護室13床、身体疾患治療病床5床を含む)の病棟施設を保有しています。研修では病棟診療が中心になります。3名の指導医がマンツーマンの指導を行いますので、日々相談しながら実践的に学んでください。病棟では、統合失調症、気分障害、不安障害、発達障害、認知症といった代表的な疾患の診療を幅広く経験できます。さらにリエゾン精神医学を専門とする教員について各科に出向き、身体疾患に併発する精神疾患の治療についても多くの経験を積むことができます。そして精緻な薬物治療戦略、クロザピンや修正型電気治療を用いた難治症例の治療、認知行動療法をはじめとする系統的精神療法による介入など、精神科医に必要な治療技術を十分に身につけていくことができるでしょう。さらに症例検討会や研究会、外部講師による講演会も頻回に開催され、知識と経験を高いレベルで統合していくことが可能になっています。
九大精神科のもう一つの特徴は北部九州一円をカバーする多くの連携医療機関を有していることです。九州医療センターや小倉医療センター、あるいは肥前精神医療センターや太宰府病院、私立の単科精神科病院、公的な行政機関をローテートすることにより、精神科救急、総合病院精神科医療、社会復帰リハビリテーション、精神保健福祉行政などについて研鑽を積むことができます。
研究に関して、九大精神科には実に多くの研究グループ、臨床グループが存在し日々精力的な活動を行っています。私たちは希望する先生の大学院進学を積極的に支援します。小児精神医学、老年精神医学(久山町研究)、認知行動療法、精神病理学、神経生理学、神経化学、精神薬理学、分子精神医学、リエゾン精神医学といったさまざまな研究室がありますので、ぜひホームページ内の紹介文を詳しくご覧になってください。臨床大学院では専門外来での診療に従事しながら、臨床研究を論文にまとめあげることができますし、精神疾患の病態基盤を調べる基礎大学院への進学も歓迎します。さらに研究を追求したい場合には、国内外の専門機関に留学することも推奨しており、紹介することが可能です。
九大精神科は1906年の開講から今日までの110年を超える歴史の中で、精神療法、社会精神医学、生物学的精神医学といった多岐にわたる領域において精神医学の発展に大きな貢献を果たしてきました。先達によって築かれたこの教室の歴史と伝統を財産として受け継ぎながら、これからの精神医学の発展に向けて皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
中尾智博